望遠鏡の向こうに見える街
入手したばかりのライカの単眼鏡を携えて、買物に出かける。
信号待ちになる度に単眼鏡を覗くのだが、望遠鏡から見る街は当たり前の話だが、いつものものとは違う。
双眼鏡や単眼鏡といった望遠鏡の特性というのはものが近くに見えることである。8倍の望遠鏡というと、1000m先が125m先(1000/8)に見える。近くに見えるということは距離が圧縮されて距離感がなくなるということでもある。
信号待ちした道路の真ん中で、真ん前を見ると何が目につくかというと、先の車が半分から上しか見えなかったりする、といったことである。タイヤの部分が見えず、トランクのあたりからが地面から浮き出ているのが見えたりする。
おそらく数100m向こうを走っている車なのだろうが、日常的にはすぐ先を走っている車ばかりを見て、遠方の車には気にも留めない。地面に半分潜った車。
これはどういう意味かというと、道路は起伏したなかを走っている、ということである。多少の上り下がりは感じるものの、望遠鏡で覗くことによって、街は思った以上に平坦ではないということを実感する。
もう一つ、おやと思うことは、真正面には必ずビルが視界を塞いでいることだ。道路を走っていると、よほと視界が開けて、カーブがない限りまっすぐなものだと思い込んでいるものだが、望遠鏡で覗いた街の正面が開けていることは絶対にない。
望遠鏡を片手に街の中を走っているといかにちまちまとしたところに生きているのかと思う。
単眼鏡なのだが、8倍という倍率であっても指先でつまんで、といったような見方はできないようだ。双眼鏡なら重みがあるので固定できるのかもしれないが、単眼鏡はつまんだだけでは手振れが激しくて見ることができない。完全に鷲掴みにして、そして眺める、というのが正しい使い方のようだ。
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