最近入荷の積ん読素材-タルコフスキー「鏡」
このBDを購入してすでに一週間超えているのだが、結局、まだ観れていない。下らないことで忙しくしているので、時間を取って観るということは出来ず、寝る前に寝床に入って眺めたりするものの、ものの5分もかからずに寝入ってしまう。恐ろしく寝入りが良い。
![]() | 鏡 監督: アンドレイ・タルコフスキー |
この作品は、あたしの生涯ベスト1ムービーという位置づけにある。初めて観たのは自分の企画した上映会だったのだが、その時の衝撃は凄まじいものだった。タルコフスキーが実体験を基にして作ったという作品なのだが、実にリアルに映像を体感することが出来たのだ。映像を観るという感じでなく、体験している光景がそこにあるという実感を強要してくるシーンが幾つもあった。これは恐るべきことである。
すでにDVDを持っていが、それはどこか海外のサイトから取り寄せたもの。Amazonではなかったような気がする。日本で発売されたDVDも同じ製品でリージョンフリーのものが各国で発売されていたようだ。もちろん、日本語字幕もあった。
上映を行ったということだけではなく、その他にもいろいろあった作品でもあった。
あたしは別の人が主宰する上映サークルのメンバーになっていたこともあった。当時、地元の出版社による月刊の就職情報誌があったのだが、その中の映画紹介のコーナーをそのメンバーが輪番で書いていたことがあった。あたしは担当の初回にこの「鏡」を紹介し、"自分が死んだ時に棺桶に入れてもらいたい作品である"なんて感じに結んだのだが、メンバーのひとりからはどうして映画紹介に死んだ時のことを書くんだ、理解できないと、散々、責められた記憶がある。
その記事か掲載されてしばらくして、そのさサークルの集まりにひとりの女の子がやってきた。短大を卒業して間もない子らしいのだが、映画紹介を読んで、この記事を書いた人に会いたいと出版社の編集部に問い合わせし、それで主宰者の了承のうえ、集まりに顔をだしたらしい。
それなりに親しく皆で遊ぶようになったのだが、これが随分と変わった子で「蛸さんが畑にいって、お芋さんを食べるんですぅ」なんていう話をする。どう見ても天然の子で、訳の判らんことを思いついて言っているんだろうと、皆で茶化していると、これは本当のことらしかった。困ったのは、夜に電話がかかってきて、幽霊が体を触ってきて困るのでどうにかして欲しい、という。あたしは当時から怪談話は好きだったが、そういった幽霊を追い払う術など知らない。そういった体験はよくあるようで、特にその時は酷かったらしい。仲間うちのひとりがお祓いの呪文のことを以前していたのを思い出し、彼に連絡するように伝えた。
霊感が強いようで、皆でドライブしていると、いきなり、ギャーと叫んで、道のまん中に人が立っていると云い出す。皆、見えないの?と尋ねてくるが、もちろん誰も見えない。ドライブの帰りも同じ場所を引き返して通ったのだが、今度はその道のまん中に立っている人のところに車が突っ込んでいって、自分の体を通り抜けていったという。もう完全にパニック状態に陥って、皆から「うるさい、黙れ!」と罵られる。あたしの人生の中で、いわゆる霊感のあるという人が身近にいたのは彼女だけである。
どうやらあたしに好意を持ってくれたようで、何かにつけて、付き合ってくれ、といったようなことを云ってきたのだが、残念ながら付き合ってもいい人間とそうでない人間がいる訳で、冷たくするしかなかった。ある日、「それではさようなら」という電話があり、それらというものの二度と姿を見せなかった。
すでに20年も前の話になるのだが、この映画を見るとそんなことも思い出してしまう。
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