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2013.12.21

エレム・クリモフ「炎628」(85)

 週末ごとに遊びに来る下の子に、来るたびに1本は映画を見せようということにした。映画は娯楽というだけではなく情操教育に非常にいいと思っている。色んな擬似体験ができ、考えるヒントにもなる。あたしは親に映画に連れて行ってもらったことは2回だけしかなく、実は寂しく思っている。週に一度、自宅でのカウチポテトでも、一緒に映画を観ようといってくれる親がいれば、嬉しいはずである。

 ということで、今週の映画は昨日、再リリースされたばかりのエレム・クリモフの「炎628」(85)である。この映画は当地で公開されることはなく、じつは最近知ったばかりである。戦争映画なのだが、その内容の過酷さにトラウマになった人も多いということだった。

炎628
炎628

監督: エレム・クリモフ
出演: アレクセイ・クラフチェンコ, オリガ・ミローノワ, リュボミラス・ラウツァヴィチュス, ウラダス・バグドナス
ディスク枚数: 1
販売元: IVC,Ltd.(VC)(D)
DVD発売日: 2013/12/20
時間: 136分

 実際に見てみると、第二次世界大戦中にドイツ軍が白ロシアで行った住民殺戮を描いたものだった。15歳くらいの少年がパルチザンに参加するのだが、年少と云うこともあって戦闘に参加できず、村に戻ると自分の母親と幼い双子の妹を含めた大勢の村人が殺されていた。さらに辿り着いた別の村で、すべての村民が集会所に集められ、生きたまま焼き払われる。

 あたしはすでにショアーなどでアウシュビッツでのナチスのやり方については知っていたのでそんなにショックではなかった。ガス室内部で繰り広げられる死から逃れようとお互いを傷つけあう人間の様を知ってしまうと外目のいかに平和であることか。しかし、嬉々として惨殺行為を行う兵士の姿を見せつけられるとさすがに悪寒を感じだ。

 凄惨な体験をする毎に主人公の少年の顔が変わっていく。このあたりのメーキャップはとても効果的で、ラストは完全に額に深い皺の入った年寄りの顔になっている。

 このような住民ごと村を焼き払うという行為がタイトルにある628の村で行われたという。

 一見、こういった行為は狂気的に感じるかもしれないが、戦争と云う行為においては最善のやり方でもある。侵略するすることにおいて、その住民を生かして支配するより、完全に抹殺してその土地を奪うという方がやり方としては正しく理想である。本来の戦争・侵略と云うものはそういうものであり、現在もある地域では続いている争いは凄惨を極めているが、理想にたどり着けないが故の無理のないことなのである。

 これはソビエト映画なのだが、あの地の人の映画には非常に特徴がある。あたしの敬愛するタルコフスキーには特に顕著なのだが、時間の流れというのが非常にゆったりしているのだ。邦画もあまりにも情緒的で必要以上に物語の展開に滞りを見せるのだが、ソビエト映画はそもそもが滞りでその中で物語が展開しているような気がしてしまう。この「炎628」でも何もない原野が見せつけられる。日本では北海道くらいでしか見ることのできない光景である。そんななかで生きていると時間の流れも我々とは著しく異なっているのかもしれない。

 ちなみに一緒に映画を観た子供曰く、これは普通には放送できんな。確かに地上波だと刺激が強すぎる。

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