公益社団法人 日本缶詰協会「缶詰ラベルコレクション」(12)
あたしが学生時代になりたいと思っていたのは、映画監督か広告デザイナーだった。前者については大学のサークルで8mmカメラを回して、その才能のないことを知り、また後者については、知り合いの知人が小さな広告事務所を経営しているのを紹介してもらい、会社訪問をしたのだが、「現在、求人をしていないから、雇うとか雇わないとかとは云えないけども、ここに来るのは自由ということで、いつもそのあたりにいるといつの間にかここで働いているようになっているかもしれないな」と云われたこともあった。しかし、そこで行われていた仕事は素人目にも今ひとつで、訪れたのはいっかい切(き)りになってしまった。
商品パッケージは商品を保護するだけではなく、広告としての役割も大きい。缶詰は非常に小さいもので、そのパッケージに何かを描くというのには制限を強いられる。そして非常に工夫が必要となる。
この書籍では明治期から昭和初期にかけての缶詰のラベルが550点ほど集められている。当時の印刷の悪さと云うのがあるものの、意匠的にはそんなに古めかしさを感じないものが多い。小さなスペースを用いての意匠なのでとにかくシンプルさが必要とされ、不必要に当時のブームを反映することもなかったのかと思われる。スタイルを幾つかのパターンに分けることも出来なくはなさそうである。
![]() | 缶詰ラベルコレクション 公益社団法人 日本缶詰協会 (監修) |
缶詰の印刷の悪い紙ラベルを意識したか、本に使われている紙は紙質の悪い厚手のものが用いられている。ラベルは細長くなるので、見開きで一枚が掲載されているものも少なくはないのだが、ちゃんと見ようと思ってページを大きく開こうとすると背が間違いなく割れてしまう。もう少し読む時のことを考えて装幀をして欲しかった。
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