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2012.08.25

森博嗣「常識にとらわれない100の講義」(12)

 AERAに書評が載ってて、ついつい購入してしまう。もう10年近く書店には行っておらず、残念ながらAERAの書評に新刊購入は大きく左右されてしまっている。

 森博嗣の著書は、押井守作品の原作として「スカイ・クロラ」01)を読んだくらいで、ほとんど知らないに等しい。しかし、何故だか書評で気になり、手にとってしまう。

常識にとらわれない100の講義
常識にとらわれない100の講義

森 博嗣 (著)
単行本(ソフトカバー): 224ページ
出版社: 大和書房
言語 日本語
ISBN-10: 4479392297
ISBN-13: 978-4479392293
発売日: 2012/7/21
商品の寸法: 18.8x13x1.8cm

 講義とあるが、常識を問うエッセイが綴られたもの。それを基に考察できれば、ということで講義と名付けられているのか。

 ほとんどのことに対して同感で、個人的には残念ながら目新しい発見はなかったが、同じようなことを考えている人がいるんだと思って、ホッとする。

 特に興味深かった2題。

 『自分の意見が正しいと信じるなら、訴える方法も正しいものを選んでほしい。』

 森は、訴える方法が正しくなければ、「同じ意見の人に迷惑をかけることになる」という。さらに「やっきになって、俺の方が正しいとしつこく主張するのは、なにか別に都合の悪いことがあるのではないか、と勘ぐられる結果になるだけだ」 これは全くの同感で、正しいことこそ静かに主張する、というのがあたしの方針である。最終的にそが正しいか正しくないかは、言論ではなく行為によって判断されるのである。

『脱線事故で大ぜいが亡くなったとき、誰も「鉄道廃止!」と叫ばなかった。』

 これは唯一、森の判断が謝っていると思われることである。「原発事故では、まだ一人も死んでいないのに、早くも「廃止しろ」と大勢が叫んでいる。鉄道と原発の差は、どこにあるのだろう。そこが、僕は今ひとつ分からないのである。」 原発に対する知識がないとこのような意見を持つことになるのだろうなと思う。列車事故は避ける努力を行えば、それが実を結ぶものであるが、原発はそうではないということだ。通常運転ではどうだか知らないが、定期検査は人の命を前提にしているし、使用済みの核燃料の後始末も出来ない状態で放置し続けている。こういった現実を知らずに、「鉄道と原発の差は、どこにあるのだろう。」というのは恥ずかしい。原発は人類の手には負えない代物であるという認識が必要である。

 ちょっと痛いところもあるが、まっとうな常識を身につけるためにもう一度考えてみるのが望ましいことが実に多く掲げられていると思われる。

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コメント

 鉄道事故も、原発も、避ける努力をすれば実を結ぶと思われます。
 それから、森博嗣は、原発に賛成している人ではありません。ほかの本で書かれていますが、半々だそうです。現実を知らない人ではないと思います。講演会を聴きにいってそう感じました。反原発の人たちが、あまりにも感情的に、こういう意見を「何も知らないくせに」と突っぱねることは、良くない傾向ではないかと心配しています。
 僕自身は、原発に6割くらい反対ですが、いろいろな意見、そして情報を調べたいと考えています。

投稿: 岸田 | 2012.08.26 16:19

岸田さん、こんにちは。

 あたしも原発については今回の事故で再認識したというクチなんですが、いろいろ見聞きしていると、発電所の事故も当然問題なのですが、それ以前に核というものについて人間がまだ制御が完全にできないまま、実用に持っていってしまった、ということが根本的な問題であると判りました。

 使用済み核燃料の問題なんてその最たるものではないてすか。あんな人類にとって危険でしかないものを無害に後始末する術がないまま、始めてしまったというのは技術者の狂気でしょ。技術者と云うか、経営者かもしれないですけどね。

 踏み入れることのできないような土地を作る可能性があることを平然とやれる理性はもう狂気でしょ。

 鉄道事故については、日本とかではスピードや網の発達とともに安全の面についてもそれなりに発達をさせていったと思います。現実に即して事故防止も工夫を凝らしていったという積み重ねがあります。しかし、中国のようにいきなり高速鉄道を導入した場合は、どうしてもいびつなことになってしまいます。

 そんな人間の驕りについて注視することは必要であると思うのです。

投稿: O-Maru | 2012.08.26 21:41

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