訃報 森田芳光
この人の訃報も突然と云えば突然だった。
あたしが大学に入った頃にこの人は『家族ゲーム』とかで注目を浴びていた。当時の邦画界では異色な監督だった。いつも斬新なスタイルが試みられ、有望な監督と思われていた。
あたしは実を云うとそんなに評価はしておらず、スタイルは目を引くが内容のない作品ばかりを撮っていると感じ、作家としてそんなに素晴らしいとは思えなかった。表現者とは一貫したようなテーマを持っているものであり、取り上げる題材だけでらしさを感じるものなのだが、彼にはそれがなかった。
夏目漱石の『それから』を映画化した時、素晴らしいと云うサークルの仲間がいたが、あたしは「クソ」だと思った。それから彼の映画を見るのが嫌になってしまった。一番好印象を持っているのは商業映画デビュー作の『の・ようなもの』である。
来春に公開される新作があったというが、何か静かに亡くなってしまったという気がする。
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