船津衛「自分とは何か―「自我の社会学」入門」(11)
この本を読んでいて、一番に感じたことは、大学の教授が自分の講義で使うために著した書籍、ということだったのだが、実はそうではなくて、放送大学での講義を再構成したものらしい。良くも悪くも理路整然とした内容である。
![]() | 自分とは何か ―「自我の社会学」入門 船津衛 (著) |
タイトルからもある通り、自我について社会学的見地から探るというのが本書である。他者との関連によって、自我が成立しているというのがその前提にあるのだが、そのあり方が全16章、章を追うごとに複雑な要素を組み入れて解かれている。
人がいかに複雑な外部環境の中で自我を形作り、保っているかということが明らかになるのは確かに刺激的なことである。日本人と西洋人との自我の持ち方の違いなども取り上げられ、なるほどと思う。しかし、残念ながら、心に響くものが今ひとつないのである。学術的にはその通りなのだろうけども、「自分とは何か」という問いかけからすると、もひとつ何かかかけているような気がする。
求めてはいけないものを求めているのかもしれないが、論に明日への活力を与えてくれるようなダイナミズムが欠如しているという印象が拭えない。
校正ミスか、第5章の最後が尻切れになっているのが惜しい。
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