平松園枝「サイコシンセシスとは何か 自己実現とつながりの心理学」(11)
トランスパーソナル心理学というものがある。以前手にしたケン・ウィルバーの「無境界」という書籍で知ることになるのだが、それからすでに20数年が経つものの、その理論が斬新で、今だに忘れられずにいた。
無境界 自己成長のセラピー論 吉福 伸逸 (著), ケン・ウィルバー (著) |
臨床医でもある平松園枝による「サイコシンセシスとは何か」はこのトランスパーソナル心理学を発展させたサイコシンセス(統合心理学)について、その理論と実践を判りやすく解説した書籍である。
サイコシンセシスとは何か 自己実現とつながりの心理学 平松 園枝 (著) |
トランスパーソナル心理学とは何かというのを簡単にかいつまんで云うと、我々は色んなパーソナリティを持っているが、パーソナリティは私という意識を持つパーソナルセルフによって制御できるものであり、パーソナルセルフはトランスパーソナルセルフに導かれる、と云ったものである。トランスパーソナルとは自我を超えた存在で、全体を支配するような存在である。というと、かなり宗教に近いものを含む理論であるということになる。
とは云え、これらのことは日本人にとっては非常に身近な事でもある。禅というものがあるが、禅は座禅を組んで無我の境地に入って悟りを開く。「お天道さまが見ている」と自分を客観視し、悪しき方向に進むのを避ける。これらは非常にトランスパーソナル的な行動であると思われる。
利己主義や他人との軋轢のほとんどは表面的な意識によるもので、深い自我に降りたって、本質を見て、それに従うことができれば、改善・解消できるものである。この書籍はその手助けをしてくれる。
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