おいあくま
週末になると、どうにも車を転がさないと気が済まない。仕事のストレスはともかく、家庭の問題のストレスが強く、ドライブでもして気分を晴らさないとどうにもやっていられないのである。週末の二日間で最低でも100kmは走り、少なくとも1000円がガソリンに変わる。
今日は隣町の山里を走ってみる。山を西から東に横断する道路なのだが、かなり急な勾配でジグザグに進む。山里というと大抵は集落との間かそこそこあるものなのだが、峠に至る西側についてはずーっと集落が満遍なく続いていて、非常に明るいのどかな雰囲気がある。桜があちこちに咲いており、ドキッとする白さが目に刺さる。
峠の向うは民家は疎らで、冷たい雰囲気になる。峠が町の境にもなっていて、こうも差があるのはどうしてなのかと思ってしまう。
しかし、とても好きな道で、何年かに一度は無性に走りたくなって訪れる。昔は原付で走っていたものだが、今はさすがにそのような元気はない。
ハンドルを握りながら聴いていたのが、先週のNHKFM「日曜喫茶室」の録音だった。『家訓を作ろう!』というのがテーマで、放送作家の藤本義一がゲストの一人として出演していた。藤本は以前11PMで司会をしていた頃のような、相変わらずの出しゃばりだったが、面白いことを紹介していた。
祖父が毎朝、顔を洗い、鏡に映った濡れたままの自分の顔に向かって「おいあくま」と3回叫ぶのだそうだ。子供の義一にとってはとても怖い光景だったが、「おいあくま」とは悪魔のことではないことを後に知ったという。
社会人だと「ホウレンソウ」という言葉をたいてい知っているものである。上司とのやりとりにおいて大切なのは、ホウレンソウ、つまり、報告・連絡・相談である、ということなのだが、「おいあくま」もこれと同じようなものなのらしい。
おいあくま、つまり、怒るな・威張るな・焦るな・腐るな・負けるなの頭文字、で、人生にとって大切な心構えということらしい。義一の祖父は毎日、それを確認していたのだ。
確かに、怒るな・威張るな・焦るな・腐るな・負けるな、は、人生をふいにしないためにはいずれも重要なことである。怒るな、については、驕るなとする場合もあるようだが、いずれにしても地に着いた生活を送ることを戒めている。
乍ら運転はよくないのだろうけど、今は何よりも幸せなひと時となっている。
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