訃報 レヴィ=ストロース
レヴィ=ストロースが亡くなったらしい。満100歳。フランスの思想家のひとりである。
学生時代にこの人の本を何冊か読んだはずだ。もう20年以上前のことになる。80年代の始めと云うのはポスト構造主義が流行った時期で、浅田彰とかが時代の先端を走っていた。その辺りのことあって、あたしは言語学を専攻する。もちろん、記号論とかにもちゃんと触れておきたかったのだ。
しかし、研究室の助教授はモンゴル語の歴史言語学、それをサポートする後輩の助教授はハングル-日本語の比較言語学がそれぞれ趣味なようで、チョムスキーの袋小路に入り切った生成文法をメインに演習させられ、正直、おもしろいものではなかった。だから、哲学関係の講義ばかり受けていたような気がする。
哲学教室と合同演習もあったが、これがソシュールの「一般言語学講義」の仏文原書を読むというものだった。訳は辞書を引けば出来なくもないが、単語がくっついて発音されるリエゾンなんて判る訳がなく、哲学の教授からは常に間違いを指摘され、それをうちの助教にフォローしてもらっていたと云う、最悪な演習だった。まぁ、ソシュールの基礎が知れてたのは良かったのだが、哲学教室の連中、教員、学生ともにだが、性根の悪さをあらためて思い知った。理論は他人を不愉快にするためにあるものではない、と彼らには知らせてやりたかった。性格の悪さが祟ってか、哲学の教授は恐ろしく早くに癌で亡くなってしまった。
一般言語学講義 フェルディナン・ド・ソシュール(著), 小林英夫(翻訳) |
あたしはソシュールでやっつけ卒論を書いたのだが、その時に読んだのが、レヴィ=ストロースであったり、ジャック・デリダ、メルロー=ポンティだった。今はちっともその内容を覚えていないけど。
本当はメンタルモデルを解析して、どのように人間は世界を認識しているのか、というのを明確化したかったんだけどな。言語もしかり、芸術もしかり、人間の認知の仕組みは本当に複雑極まりなく、未知なる世界。自らが抱えているワンダーを解明したかった。
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