二筋縄。

　職場の課内異動であたしの関係する仕事についたあたしより年がひとまわり上の女性職員。最近の仕事と云うとどうしてもパソコンを使わないといけない。基幹システムからオフィスソフトまで、ひと通り触れないと仕事がこなせない。

　新しくする事務処理を側について、システムのメニューひとつひとつを説明しながら、操作させる。基幹システムはメニューがしっかり出来ているから、何がしたいのか判っていれば、ひと通りやってみると次からは自ずと操作できることが多い。操作できないと云うのは、コンピュータシステムが判らないのではなく、自分が何をやっているのか理解出来ていないことが原因であったりする。もしくは、画面のメニューや表示される警告等のメッセージをまったく読もうとせずに、ひたすら混乱すること。メニューが読めれば、うちの下の子が小一の時に誰にも教わらずにやったように、ペイントを使ってお絵かきした絵を壁紙にしたりすることも可能なのだ。

　とにかく彼女は操作をすべて大学ノートに書き落とす。このメニューを開いて、この項目を選んで...　画面を見れば判るのだが、その手純をノート数ページに渡って書き込む。ご苦労なことである。ルーチンワークなので、とりあえず同じ操作が出来れば問題ないよな、と呆れつつ見ている。ひと通り終わって、じぁ、もう一回やってみてと、処理を促す。ひとりで出来なければ、意味がない。

　えーっと、判らない、と彼女は初っぱなから固まる。もちろん、こっちも固まる。何のためにノートをとったんだよ。ノートを見れば、判るんじゃないですか、とノートを上から指差して、こと細かく書き込んでいる操作手順を示してみるのだが、それでも要領を得ない。最小限のメモも取らずに判らないと云う困ったヤツもいるが、逐一操作を書いて判らないと云うのも申し訳ないが何だかと思う。

　会議を録音したテープをMP3でパソコンに取り込んで驚かれたと思ったら、どうしてそのファイルを文字に変換できないんだとケチをつけられる。つくづく電算は難しい。