ロバート ホワイティング『東京アンダーワールド』(00)
昨年末にブックオフの105円コーナーで買ったロバート ホワイティングの『東京アンダーワールド』をようやく読み終える。休憩時間に読む職場の置き本にしていた。
東京アンダーワールド ロバート ホワイティング(著),松井 みどり(翻訳) |
日本の敗戦から1990年半ばまでの50年間の東京、主に六本木をメインとした裏社会の様子が描かれる。柱として描かれるのは、1992年に亡くなった日本で始めて本格的なピザ屋ニコラスピザを開いた元進駐軍兵士ニック・ザペッティである。彼は「東京のマフィア・ボス」と呼ばれていたらしいのだが、決して悪辣な人物ではなく、ワルだけどお馬鹿で結局ワルになり切れないところがある。殺しを良しとしないところもいい。初めは勝者として日本で過すのだが、段々と日本のワルに食い潰されていく。日本に帰化するのだが、負け犬的に人生を終える。
それにしても50年の歴史と云うと長い。ヤクザが敗戦後の廃墟でどのように力をつけ、政治や経済にも影響を及ぼしていったのか。表からは見えないことがあまりにも多い。TVスターであったプロレスラー・力道山は裏の顔は博打の胴元で政治家からも金をふんだくっていたようだし、自民党自体ヤクザによって旗揚げさせてもらっている。今でも裏の黒い部分が見え隠れするけども、深い闇があるのは確かだろう。
そういったことが実にリアルに描かれており、これが面白くない訳がない。映画化権をマーチン・スコセッシが買っており、映像化すると云うことなのだが、これはどうなのだろうか。全体を描くにはスケールが大きすぎ、かといってどの辺りをメインにすればいいのかもあたし的には判断しかねる。半生記の映画化となるとかなりの工夫が必要である。
件の地、六本木というと25年ほど前、高校の修学旅行のバスで通りかかって、井上順が歩いているのを見かけたくらいの印象しかない。
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