ヨゼフ・フィルスマイヤー『スターリングラード Stalingrad』(93)
何だかんだ云っていたんだけども、DVDが突然配達されてびっくりした。意識しないうちに注文をかけてしまっていたようだ。
スターリングラード攻防戦を攻め入るドイツ側から描いたのが、この『スターリングラード』である。半年あまりの戦いでドイツはスターリングラードの攻略に失敗し、23万人のドイツ側将兵のうち戦いに生き残ったのが9万人、戦後祖国に帰ることが出来たのは6000人にしか過ぎなかった。零下50度での冬の戦いは過酷で、赤軍に完全包囲されたドイツ軍に勝利の見込みは限りなく0に近いものだった。
物語は苦戦を強いられるドイツ第6軍に加え、冷徹な上官に反抗する兵の壮絶な境遇が描かれる。戦争映画に多い、無理解、戦争犯罪の上官との対立というのが主だった流れであるのだが、それとドイツ軍が追い詰められる様とが必ずしもうまく噛み合っておらず、だからいったい何なんの?という感じにも陥りがちなのだが、それにしても消耗戦と云うのは実に苦々しく感じる。
![]() | スターリングラード 監督: ヨゼフ・フィルスマイアー |
戦いは虚しいものである。負ければ当然、勝っても多くのものを失っているはずである。その失ったもの以上のものを得ていなければ、勝ち戦も純粋な勝ち戦ではない。
攻め入られる側が戦いを選択するのは理解できる。侵略に対する最も有効な対処策であるからだ。しかし、戦いを以て攻め入ろうとするものは、余程の為政者の意図がなければできないと思う。このスターリングラードのような多大な犠牲を払う可能性がありながらも、攻略を命じたヒトラーの精神構造はどのようなものだったのか想像を超えてしまうのである。それは今の米国大統領ブッシュにしても同じである。自国国民に「死んで来い」と云える人間は人間とは思えない。
次期米国大統領が黒人候補オバマに決まったそうだが、これで少しでも世界の流れが変るといいと思うのだが、期待してもいいのだろうか。自己利益を追求しない人であって欲しい。
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