昭和の顔
実相寺昭雄の『帝都物語』を見てて、もう昭和以前の話は映画には出来ないんだろうなと思った。
この作品は88年のもので、昭和の最後に作られたものである。配役の工夫もあるだろうが、完璧とは云わないまでも高橋幸治や平幹二朗はオトナの男を演じるのに成功している。主役級の石田純一がもうヘナヘナの平成男になっているので、全体的な雰囲気としてはやや軟調になっているものの、昭和の香りが漂っている。
作品の舞台は明治末期から昭和初期の話なので、かろうじて昭和の香りが漂っていると云うレベルでは困るんだけど、役者がいないので仕方ない。
しかし、エキストラの中にはいかにも当時の庶民といった雰囲気を持つ人もいて、これには驚かされる。これはたまたまなのか、目につくエキストラにそう云う人を選んで配置したのかわからないが、過去のドキュメンタリフィルムからそのまま抜け出たような人がいて、吃驚する。
それにしても国民が戦争にさらされた昭和が終って20年。時代の、人間の、雰囲気は変るものである。
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