加門七海『蠱』(96)
まとめ買いしたのだから仕方ない。一応、読み進めてはいるのだが、やはりお世辞にもいいとは言い難い。
![]() | 蠱 加門 七海 (著) |
96年の単行本発行を99年に文庫本化したものだが、各短編の初出はどこだったのか調べてみてもどうも判明しない。これが中学生以下向けの雑誌に掲載されるために書かれたものなら、まぁ、理解は出来るのだが、そうではない商業誌や書き下ろしならあまりにも酷すぎるとしか云いようがない出来なのだ。
先の『203号室』でも呆れたのだが、本書も酷い。
オカルト関係の知識は凄いと判るのだが、ストーリーとして人間の行動を描くのなら、それなりに人間描写も必要かと思われるのだが、一本調子のステレオタイプでしか人間を描くことが出来ないようで、物語として読み進めるのはかなり辛い。短編集で一編読んだだけで十分にうんざりさせられるものだからかなりのものである。
ステレオタイプと云うと楳図かずおの作品もそういった傾向が強いが、物語の展開の激しさと描かれる内容の多様性がそれにはるかに勝っている。これまで読んだ加門の小説は馬鹿な薄っぺらいマンガを文字化しているような印象があって、本当に暇潰しでもない限り、読み進めるのはかなり辛い。
残念ながら小説家としての才能はないのではないかと思う。しかし、オカルト方面に対する知識は捨てがたくもあり、そういったアイディアをきちんとした小説と云う形にしてくれる合方を見つけて、原案者として活躍をお願いしたいものだが、そうもいかんだろうなぁ。
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コメント
いいな~、公務員さんは、残業になるとタクシー券くれるんだぁ~、そのタクシーも金券とかビールとか色々付いてる
なんて、羨ましいなぁ~
そのタクシー券買ってるのは税金からだよね・・・
投稿: Kinta | 2008.06.30 12:12
Kintaさん、こんにちは。コメントありがとうございます。
コメントを登録する位置を間違われているようなので、正しい場所に誘導しておきますね。皆さん、こちらの記事をご覧ください。
投稿: O-Maru | 2008.06.30 19:35