ピエル・パオロ・パゾリーニ 「ソドムの市」(75)
凄いと云う噂を聞いて久しく、ようやくDVDを入手する。パゾリーニの作品のタイトルはいくつも以前から知っていたのだが、作品自体を観るのは初めてである。
パゾリーニ・コレクション ソドムの市(オリジナル全長版) 監督: ピエル・パオロ・パゾリーニ |
パゾリーニの作品のほとんどは寓話であるということをそこここで見かけるが、確かにこれが寓話でなければ、とんでもない。
マルキ・ド・サドの『ソドム百二十日』が原作なのだが、舞台は第二次世界大戦末期の北イタリアの町、ソロに変更されている。時の権力者4名が条例を作り、健全な少年少女18人を監禁し、異常なる快楽を貪る。まぁ、それが極めつけの変態で、ラストも異常なまま終焉を迎える。エロ・グロ・ナンセンスはあたしの得意とするところなのだが、それでも何の後ろめたさを感じず、快楽に溺れる様にはちょいと気分が悪くなってしまった。
異常なまま終ってしまうので、全体的に何かを意図しようとしていると考えないと、そのあたりのスカトロAVもどきの馬鹿映画になってしまう。しかし、構成があまりにも簡単なので、じっくり考えないと何も見えて来なさそうなんだよねぇ、この映画。
素人役者を使ってリアリティを出したと云うことなのだが、とりわけやぶにらみがちの大統領役ってはまり役過ぎて、途中で気分が悪くなってしまった。あの素人の起用だけでも、この作品の完成度が格段に上がっている。それだけでも奇跡のような映画だと云ってもよいかもしれない。
しかしまだ完全に未消化の状態。イマジネーションで読み取るのはしばらく時間がかかりそう。
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