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2008.06.24

加門七海『203号室』(04)

 加門七海のノンフィクションはかなり面白い。もともと霊感のある人がいわゆるオカルト方面の研究もしていたりするから、とにかくリアリティがあって興味が引かれる。そんな彼女のフィクションを初めて読んだ。

203号室
203号室

加門 七海 (著)
文庫: 224ページ
出版社: 光文社 (2004/9/10)
ISBN-10: 4334737587
ISBN-13: 978-4334737580
商品の寸法: 15x10.6x1.2cm

(表紙を拡大)

 文庫本のための書き下ろし長編小説なのだが、書き下ろしというのがちょっと信じられない。プロットに安定感がないのだ。連載ものならとりとめのない話になってしまうこともやむを得ないだろうが、書き下ろしでそういう状況に陥るのは問題である。しかし後半はやや頑張りをみせ、引き込むところも無きにしも非ずなのだが、結局、は?というような終り方をしてしまう。この人はどうやらストーリーテラーではないようだ。

 その人の体験談が面白ければ、作り話も面白い、ということにはならなさそうだ。

 それにしても登場する人物に芯といった様なものがないのが気になる。ごく数人しか登場人物がいないのだが、いずれもリアリティのある人間として描かれていない。怪奇現象の恐ろしさより、ある意味、ここまで人物を描こうとしない作家の姿勢に疑問が生じて、怖くなる。

 どこかで誰かが書いていたのだけども、あたしも改行ばかりの文章にちょっとクラクラしてしまった。ひとつやふたつの文章を並べただけですぐに改行してしまうという息づかいの短い文章は、かなり疲れる。これは生理的な問題か。

 肉体的に傷つけられる描写も多く、あたしはかなり凹みました。ジャック・ケッチャムを思い起こしてしまう妙に痛々しい描写が続く。怖いと云うよりむしろ痛い小説かもしれない。

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コメント

私も今この小説を読み終わりました
たしかに終わり方が酷かった
怖さより苛立ちが込み上げてきた小説はこれが初めてです

投稿: | 2009.10.18 23:33

こんにちは。
まぁ、作者の力不足はやむを得ないとしても
編集者がこれでよくOKを出したものだと思います。
習作レベルでの出版は著者の評価も落ちるので、
版元はもっと責任を感じるべきです。

投稿: O-Maru | 2009.10.19 00:01

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