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2008.05.25

子供の頃、怖かった本

 まだ小学生の時、どうしようもなく怖かった本を2冊、ヤフオクで入手する。質の全く異なる本でここで一緒にしてしまうのはどうかと思ったりもするのだが、いずれも本棚の奥の見えないところに封印していた。どちらも結婚して実家を出る時、そのまま実家に置いてきてしまった。

怪談ほか
怪談ほか

小泉八雲ほか (著), 司修(絵)
206ページ
出版社: 講談社 (1972/07/12)
ISBN-10: 406147121X
ISBN-13: 978-4061471214

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 まずは講談社少年少女文庫のひとつである小泉八雲ほか『怪談ほか』である。この本は初めの方の刷を持っていて、オリジナルのそれは左のような表紙カバーいっぱいにイラストが描かれているものだったが、今回入手した13刷は装丁デザインに変更が加えられており、イラストが全体の一部のみとなっていた。変更があったのはカバーだけのようで、右の表紙には変更はない。

 掲載された物語は、八雲の怪談から「耳なし芳一」や「鳥取のふとん」、ディケンズの「魔のトンネル(信号手)」、ジェイコブスの「さるの手」といった古典的なものばかりで特に怖くはなかったのだが、カバーや特に表紙のイラストが怖くて仕方なかった。表紙については非常にシンプルな絵なのだが、やはり今でも何とはない不気味さを感じる。

 おそらく小学1年生か2年生の時に買ったのだが、今だに怖い話は好きである。

劫火を見た―市民の手で原爆の絵を
劫火を見た―市民の手で原爆の絵を

93ページ
出版社: 日本放送出版協会
ASIN: B000J9EX5U
発売日: 1975

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 この本との出合いはここで記したとおりである。市井の人が自身の体験を絵で表した、実に拙いものも中にはあるのだが、体験者が描くものは実に生々しい。原爆の悲惨さは山端らの記録写真で知ることは不可能ではないが、全部ではない。おそらく本当の酷いところは避けているようにも思える。

 表紙も背景に「市民が描いた原爆の絵」が配されているが、よく見ると実に酷い光景が描かれている。遺体を空き地で荼毘に付している様子なのだろが、そこかしこに「頭だけ」といったばらばらになった遺体が散乱しているのだ。原爆写真で山端の折り重なる遺体だとか黒こげになった遺体等を見ることは出来るが、こういった肉片になった人間の姿を見ることはできない。戦場の最前線ではなく、市民の生活する場でこういった光景が繰り広げられたということを知っておく必要があるだろう。

 怖いから愉しい、怖いけど知っておかなくてはならない。怖いと云ってもいろいろあるようだ。

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