ジャック・ケッチャム『隣の家の少女 THE GIRL NEXT DOOR』(89)
そこかしこで「すごい」という評判が書かれていたので手に入れて読んでみる。スリラーなのかと思うとそうではなかった。単なる少女虐待話である。
あの女子高生コンクリート詰め殺人事件がそのまま再現されているかのような物語で非常に気分が悪い。描かれている、軽い虐待がエスカレートし、激しく、ねちねちしたものになっていく様はリアルな経過なのかもしれない。実はこの物語自体も実際にあった事件をもとに発想を得て書かれたようである。
隣の家の少女 ジャック・ケッチャム(著),金子 浩(翻訳) |
しかし、実話に発想を得て、残虐な小説を書くというのはどういう事だろうと思う。コンクリ事件は映画化された時、凄まじい非難を浴びたものだが、その作品はその事件そのものを描いたものであり、発想を得たと云うのとはまた異なる。事件に対する製作者の理解・態度がストレートに問われることになる。それに対して、発想を得たと云うだけなら、趣味に戯れることが可能である。
趣味としてはかなりの悪趣味としか云いようがない。
この物語から得られるのは特に何もなく、読み終えるまでの3時間程度を潰せる、いや、潰してしまうということになろうか。
まぁ、悪趣味に走るのなら「終わらない夏休み」くらいまで徹底してやればいいのだ。ここまでくると素直に受け入れられるものがある。もっともあたしは一日目で十分になって、読むのを止めてしまったけどね。
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