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2008.01.05

舟越桂『森へ行く日 THE DAY I GO TO THE FOREST』(92)

 オークションで落札した。公共図書館の除籍本で表紙にはバーコードのラベルがあり、その上に「除籍済資料」なんていうスタンプが押されている。図書館の本は大抵そうだが、この本にもビニールフィルムによるカバー処理が施されていて、カバーの下の表紙を見たりとか、使われている紙を触ってという装丁を愉しむことは出来ないのだが、ほとんど貸出がなかったのか15年前のものにしては恐ろしく美品だった。落札価格は定価5,000円に対して510円だった。

森へ行く日 ― 舟越桂作品集
森へ行く日 ― 舟越桂作品集

舟越 桂 (著), 落合 高仁
135ページ
出版社: 求龍堂
ISBN-10: 4763092022
ISBN-13: 978-4763092021
発売日: 1992/02
商品の寸法: 29.4x22.6x1.6cm

(表紙を拡大)

 天童荒太の『永遠の仔』の表紙で舟越の作品が有名であるというのをあちこちで見かけるのだが、あたしはこの小説のタイトルはドラマ化された時に見かけた程度で、内容も何も知らなかった。あたしが舟越の作品を認識したのはAERAの記事ではなかったかと思う。いつ頃か知らないが、インパクトがあり、オークションでふと見かけた時には入札していた。

 この作品集は91年までの作品を集めたものらしい。楠で作られた人間の上半身像がほとんどである。

 いずれの像も無表情で遠くを見据えている。一体だけ、白髪の白人男性がやや笑みのような表情らしきものを持って作られており、一般的な彫塑からすると普通なのだが、舟越の作品としては異質である。そのくらい、舟越の作る人間には表情がない。

 表情の有無は何処で判断されるかというと頬の肉の盛り上がりだろう。笑うと大抵の人間はここの肉が盛り上がる。ここが平坦であると表情が無いように見て取れてしまうのだ。大学時代のサークルの先輩にかなり美人な人がいたのだが、頬骨が発達していなかったのか、頬が痩けており、笑っても頬が盛り上がることがなかった。美人ではあったが、今ひとつ魅力に欠ける笑顔しか持たなかった。先の白髪男性は唯一、この豊かな頬を持つ人物だった。

 それと大きな透き通った眼球も。木の彫刻でありながら、リアルな目が埋めこまれており、目を引く。ひとがたにとって目は重要で、天野可淡の人形も特徴のある目を持ち、その作り方は秘密とされているらしい。

 首から下はひたすら表情を付けずに簡略化し、メインとなる頭も顔の中心の目と鼻周り以外は粗削りという作りが、ここまで生々しい透明感を与えるというのは感嘆である。購入するとなると一体どのくらいになるのか判らないが、あんまり家には置きたくないと思う。

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