寒空に締め出し
仕事を引けて帰宅すると入り口の鍵が閉っていた。ちなみにあたしは先日、キーホルダーに纏められた鍵一式をどこかに紛れ込ませてしまい、通勤に使っている原付をバッグに入れていた合い鍵で走らせていると云う状態だった。あたしが持っている鍵は原付の鍵ひとつで、玄関ドアの鍵は持っていない。
最近はカミさんがどこかに行ったとしても上の子が一人で残っていて、テレビゲームをしていることが多く、締め出されることはなかったのだが、よく思い出してみると今日は上の子が歯医者に行くといってたような気がする。帰りに買い物でも行くことになれば、しばらくは帰って来ないかもしれない。とにかく皆が帰ってくるまで、アパートの廊下で佇んでいるしかない。
先週末からあれ程暑く、秋が来るのかという感じだったのが、突如いい加減に寒くなってしまった。とっぷり日の暮れた6時過ぎ、15分くらいは平気だったが、やがて底冷えしてきた。今日からまだ早いかと思いつつもマフラーを使い始めたのが幸いした。マフラーがなければ耐えられなかったろう。さらに今で使ったことのないウインドーブレーカーのフードを立てて寒さを凌ぐ。ちゃちなフードには固定のヒモがなく、しょっちゅう後ろに靡[なび]いた。
この日は他にも変ったことがあって、賃貸の駐輪場からエントランス、廊下に至るすべての照明が消えており、妙にシンと静まり返っていた。4階下の地上を見下ろすと大家と思しき人物が車を留めて、携帯片手にうろうろしている。ビルの管理会社に灯りの点かないことに対して連絡をとっているようだ。暇つぶしに廊下のフェンスからその様子を眺める。
ただただボーッとしているもの勿体ないので、バッグから携帯オーディオを出して、録音するだけでまだ聴けていないNHKFMのトーク番組『日曜喫茶室』を聴くことにする。この番組は聴き込むと随分と面白いのだが、中途半端に聴くとかったるいだけという代物で、アバンティとは全く趣きが異なる。暗い寒夜の中の会話は十分にしんみりと楽しめるが、とにかく寒い。仕事帰りの前にトイレに行ったのだが、また行きたくなる。
突然、廊下の灯りが点く。明るいと余計に寂しくなるんだよね。やがて点検に来た大家と思しき老人が「ご迷惑をおかけしました。昼間工事で変に触ったようで...」なんて挨拶してくれる。すでに1時間くらい。大家も変な住民がいると思っているはずだ。
いい加減、寒さに堪え切れなくなりそうになりつつある頃、皆が帰ってきた。7時15分。1時間ちょっと待っていたことになる。とにかく寒かったので部屋に入り、冬からおきっぱなしの電気ストーブの電源を入れる。風邪も何とはなく治りつつあるのかなという状態だったのだが、明日は無事に仕事に行けるのだろうか。寒さのためか肩がこって痛い。子供に頼んで叩いて貰い、ようやく生きた心地になった。
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