むらかみゆきこ『軍艦島グラフィティ―おもいでのさんぽみち』(99)
久しぶりに軍艦島関連の書籍を入手する。定価1575円のものを3500円(+送料340円)。定価の倍以上の費用がかかったが絶版なので仕方がない。
軍艦島で生まれ、島の最後の7年間を過した子供時代の思い出がイラストと短文で綴られる。著者はあたしのひとつ歳下くらいの同年代の人のようで、何となく当時の空気を読み取ることができるものだった。
軍艦島グラフィティ ―おもいでのさんぽみち むらかみ ゆきこ (著) |
軍艦島に対して否定的な向きのある人もいるが、実際に生活した人にとってはごく普通の場所であった、むしろ、子供にとっては変化が多くいろいろと楽しめることができたのではないかという気さえもする。炭砿という仕事の場ではジコという辛いものも時たまあったけども、それでも楽しいところだったように見える。
断片的に島での生活が描かれるのだけど、軍艦島について多少齧ったことのあることなら馴染みの場所がそれとはなく描かれる。ほとんどが「これはあそこのことをいっているのだな」という感じで符合がいく。なんか観光絵葉書を見ているような気がしないでもない。軍艦島というのは狭い場所なので住民は実際にあらゆるところを知りつくしていたのかもしれないが、それでも地獄巡りのように順々に有名地を追っていくようなところがあって、興醒めしないでもない。著者はこのあたりをどのように意識して著したのだろうかとふと疑問に思ってしまった。
何れにせよ、軍艦島の生活者、特に子供のような純粋な立場から描かれたものは非常に貴重であると思う。
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