クリント・イーストウッド硫黄島2部作
予約していた『父親たちの星条旗』のDVDが届く。『硫黄島からの手紙』については発売日にすでに購入済。
父親たちの星条旗 (特別版) |
硫黄島2部作ということで、どうしても『父親たちの星条旗』と『硫黄島からの手紙』の出来を比較してしまうのだが、やはりあたしとしては『父親たちの星条旗』に軍配を上げてしまう。表現にメリハリをつけるためか、『父親たちの星条旗』は恐ろしくフラッシュバックを多用しているのだが、このために時間の経過に関するものに対して比較的あいまいに済ませてもそんなに不都合はなかった。回想によるフラッシュバックでシークエンスこそがメインになってくるからだ。しかし、『硫黄島からの手紙』は時系列のままに描いているにもかかわらず、時間の経過が判らない。ドキュメンタリ等で多少でも硫黄島での戦いについて知っていればまだ問題はないのだが、そうでもないと最初のシーンからどのくらいの時間が経ち、どういった戦況下にあるのか理解できない。これはある意味、致命的な欠陥ではないかと思うのだが、どうなのだろう。
アカデミー賞候補になったのは、『硫黄島からの手紙』のみ。『父親たちの星条旗』はやはり米国民にとっては煙たい作品だったのかもしれない。
硫黄島からの手紙 (特製BOX付 初回限定版) |
『父親たちの星条旗』は特別版を購入すると特典ディスクで特殊効果の紹介を見ることが出来る。それなりに再現されてはいるものの艦隊シーンは明らかに合成と判るものだが、その外にも戦闘シーンの背景の多くが風景を差替えられたものだと知らされ、驚かされる。硫黄島は擂鉢山というような特有の風景があるのだが、現在は軍事基地であり、民間人の立入は制限され、当然、戦闘シーンのロケーションなど許可される訳はない。そういう意味でも、この島の戦闘を描くには合成処理が必要不可欠となる。(硫黄島の諸々の話を聞いていると、あんなところで撮影をすること自体が危険極まりないことで、不許可は幸いと思うのだけども) ブルースクリーンでなく、余所で撮影したものを人物だけくり抜いて、背景のみを差替えるという方法らしいのだが、これが出来ると映像に関してはもうなんでもありという状態に近い。過去に映像は嘘をつかない、といったように思われていた時代もあったが、本当にすべてのものを作ることが出来ると云う時代になってしまったようだ。
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