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2007.02.24

橋本文隆・内田青蔵・大月敏雄(編集)兼平雄樹(写真)『消えゆく同潤会アパートメント』(03)

 先日購入した『Design of Doujunkai 同潤会アパートメント写真集 ― 甦る都市の生活と記憶 ―』に続く同潤会アパートメント関連の書籍。軍艦島のアパートもそうであるが、この同潤会アパートメントも生活文化というもの考慮したうえで建設されているので非常に興味深い。現在の集合住宅が箱形の、コストだけをもとに、衣食住のスペースさえ確保できればよいと云う考えのうえで作られているのに比べ、先のものがいかに人間本位であったか。軍艦島については環境のあまりの厳しさに対する工夫ということもあったろうが、それでも何とはない暖かみのある生活が見えてくる。

消えゆく同潤会アパートメント<br />
 同潤会が描いた都市の住まい・江戸川アパートメント
消えゆく同潤会アパートメント
同潤会が描いた都市の住まい・江戸川アパートメント

橋本文隆・内田青蔵・大月敏雄(編集)
兼平雄樹(写真)
新書: 159ページ
出版社: 河出書房新社 (2003/12/13)

(表紙を拡大)

 この書籍でメインで取り扱われているのは同潤会が最後に手掛けたコンクリート造アパートであり、昭和9年に完成し平成15年に取り壊された江戸川アパートメントである。このアパートは同潤会アパートメントの集大成的な存在であり、それ以前のものとは工夫の凝らされ方が異なり、随分複雑なものになっている。中庭を挿んで1号館・2号館とあり、家族向126戸、独身向131戸、店舗その他向4戸という構成なのだが、同じ構成のものが単純に配置されているのではなく、いろいろなスタイルのものが混在して作られている。それらの幾つかのパターンが見取図と写真を添えて詳細に解説されている。

 すべてを読み終えていないので、どうしてこんなにこだわりをもってこのアパートが作られたのかはまだ理解出来ていない。しかし、家賃は高価であり、高収入でなければ入居できなかったようだ。今でいうデザイナーズマンションといったところだろうか。結局、著名人が多く入居し、文化人アパートと呼ばれることになったようだ。

 それにしても書籍の内容が素晴らしい。見取図と写真をもとにした解説は、もともとこのアパートの住民であり建築が専門の橋本文隆によるもので、実際の体験および専門家としての見解が交じるもので堅苦しくこそないものの非常に洞察のあるものとなっている。誌面が許すのならもっと詳しいことが聞けるのに、といった感じだ。住宅に興味のある人ならぜひ一度は読んでみることをお薦めする。

 住まいということの考察をせずにいられなくなる一冊である。

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