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2007.01.07

建築資料研究社『Design of Doujunkai 同潤会アパートメント写真集 ― 甦る都市の生活と記憶 ―』(00)

 同潤会アパートメントとは、関東大震災後、住宅供給を目的として設立された財団法人・同潤会によって建設されたものを称する。それまでの住宅は木造であったことから震災での被害は大きく、鉄筋コンクリート造による住宅の供給が必要と考えられ、1924年に設立された同財団は、翌年1925年8月から鉄筋コンクリート造のアパートの建築を開始する。そうして、東京・横浜に同潤会アパートメントが次々と建てられることになる。しかし、鉄筋コンクリート造によるアパートの建設は費用がかさむことから、1934年竣工の江戸川アパートメントを最後に、同潤会は木造平屋建の分譲住宅のみを供給するようになった。

 あたしは地方住いなのでこの同潤会アパートメントというものの存在はほとんど知らなかった。

Design of Doujunkai 同潤会アパートメント写真集 ― 甦る都市の生活と記憶 ―
Design of Doujunkai
同潤会アパートメント写真集
― 甦る都市の生活と記憶 ―

単行本(ソフトカバー): 218ページ
出版社: 建築資料研究社
(2000/07)
ASIN: 4874606431

 この写真集では青山アパートメント・清砂通アパートメント・上野下アパートメント・大塚女子アパートメント・三ノ輪アパートメント・虎の門アパートメントの6つの同潤会アパートメントが取り扱われ、387点の写真が納められている。写真集の発行から既に7年が経ち、築80年にもなろうかという同潤会アパートメントは2006年現在上野下アパートメント、三ノ輪アパートメントしか残っておらず、この写真集で見られる大半の光景はもう実際に見ることはできなくなっている。

 大正末期から昭和初期にかけて造られたアパートはモダンな装飾が施され、造形的にも美しい。さらにそれに年期が加わり、なんとも云えぬ成熟した佇まいを見せる。アパートが家賃回収のみでは経営できず、やがて木造建築住宅に変更しなければならなかったのも頷ける。このアパートには裕福な医師や代議士も入居していた。

 見た目の意匠が目につくのだが、居住空間を意識して設計されていることも、現在の素っ気ない単なる箱の集合住宅とは異なる。採光と子供のために設けられた中庭。通りに面した表と中庭の中との佇まいは違った趣きを持つ。女子アパートでは屋上にサンルームや音楽室も設けられていた。

 今の集合住宅では生活が感じられない。あたしが今住んでいるところも、玄関のドアを開けるとひっそりしていて、まるでホテルの廊下に出たのだろうかという気分に襲われる。すでに5年も住んでいるところだが、そういった印象は変らない。同潤会アパートメントの佇まいからは人間の住んでいる様子が伺われる。いつからこういった生活を隠蔽してしまうといった建物に住むことを良しとし始めたのだろうか。同潤会アパートメントの写真集を眺めていて感じることは多い。

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