記録/綾井健『記憶の「軍艦島」 REMEMBER GUNKANJIMA』(06)
久しぶりの軍艦島関係本。長崎市の観光資源としての保存活動や「軍艦島を世界遺産にする会」の世界遺産に向けての活動に対して、軍艦島はもともと企業による監獄島のようなものであり、むしろ「負の遺産」であるにもかかわらず、このような動きがあるのは実に「きな臭い」ことであると批判する。
記憶の「軍艦島」 綾井 健 |
軍艦島では半島からの強制労働があったり、自由に島からでることが出来ないという頃は確かにあったようだ。炭砿で働く坑夫やその家族がより豊かに生活できるようになったのは、戦後労働組合が出来てからのことである。それからは生活環境に制限があるものの、いち早く家電製品が普及する等、本土よりもよい生活を送っていた。労働賃金がよいということで、島に流てくる者も多かったようだ。
著者は80年に島に渡り、その際に撮った写真を交えて、軍艦島を語る。
が、どちらかというと建物はそれなりの工夫が凝らされており、生活しやすいようになっている。廃墟となった軍艦島に渡って目の当たりにするのは、こういったハードのの面でしかない。ほとんどが海外の設計者によって設計されたようで、その設計の大胆さ等に筆者は感心している。この島はで数千人が生活するためには本当に工夫が必要だったのだ。
強制労働についても幾らか述べられるが、伝聞によるものであったり実に説得力がない。現在の軍艦島からそういうソフトの面はそもそも読み取れないのだ。とりあえず、産業遺構を遺産として保存すると云うことに異議申立するというものの見方があるということは理解した。
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