旧街道
週末に行ってみたのは四国山地の入り口の町。海に面する平野から、720m程の峠を超えるとそこの町に入る。親父の実家はさらにそこより30kmくらい山奥にある。
親父の実家に行くには絶対、その峠を超えなければならないのだが、母親曰く、これが大変だったそうだ。もちろん、今は急勾配でカーブが多いものの、十分に整備されて、子供が車酔いする程度だ。しかし、40年程前はかなりのものだったらしい。父親の実家まで、バスで行っていたりしていたらしいのだが、道ががたがたでひどく、さらに狭さもあっていつ崖からバスが落ちるのかと気が気でなかったらしい。そういう噂を聞いていたのだが、実際、どのようなものか判らない。少し前に国交省がその道路のバイパスを作るというので、パンフを作製したのだが、そこに旧街道の写真があった。未舗装の砂利道でガードレールもないつづら折りの道が坂を登っている。ほとんど一車線分しかない。バスとの離合なんて考えられない。イヴ・モンタン主演のオリジナルの『恐怖の報酬』で辿る悪路に輪をかけたような感じだ。
おそらく一番最初の峠を超える街道らしきものを知っているが、そこはすでに地元の林業でしか使っていないのではないかという状態になっている。たまに車で走ってみたりするのだが、全く走れないわけではないが、普通車一台が走るのにも左右を気にしないといけないし、そこを走る数回に一回は離合しないといけない状態に陥ったりするのだが、離合スペースがあって胸をなで下ろす。スペースがないようなところでかち合うと、カードレールもない3m程の幅員の道路を延々バックすることになる。こんな道を初めて走ったのは真っ暗な夜で、何も見えないからそこそこのスピードを出して走っていたものだが、昼間に走るとコンクリート舗装の道路の側はそのまま崖という無茶苦茶な状態が目の当たりで、どうしても慎重なのろのろ運転になってしまう。
ということで、現在の国道のわき道に商店街があったりする。国道にまったく面していないので、まったく目につかず、地元民だけが使っているようだが、ちょっとしたスーパーがあれば事足りる程度なので、ほとんど開店休業のような状態。そういう商店街に限って、紐を張ってちょうちんやプラスチックの花を飾っていて、余計に侘びしさを感じさせる。田舎の寂れ切った商店街は山奥だろうと、やや郊外だろうと同じような飾り付けをしていたりしていて、不思議に感じる。
しかし、その商店街の通りというのが結構長く、それが旧街道の名残であることに気づくのにはそんなに時間はかからない。昔はそれなりに人が往き来し、賑わっていたんだろうと思うとやはりなんともいえぬ気がする。商店もあり、道路拡幅できないため、そばの民家の疎らなところに大きな道路が作られ、そちらがメインになってしまい、やがて忘れられる存在になってしまう。当然なことと云えば当然なことなのだけど、やはり、やる瀬ない気分に陥ってしまう。
地域というのは特に道路一本で大きく変わってしまうので、怖い。そういったものを見ているとやはり、人間がいなきゃ、何も始まらないという結果にも落ち着いてしまう。
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