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2006.06.04

映画のモノラル音声

 先日、購入した市川準監督の『トニー滝谷』のDVDなのだが、収録音声はモノラルだった。2004年製作の非常に新しい作品なので意外だった。最近のDVDというと5.1chは当たり前になりつつあって、さらに加えてdts版音声も収録されていたりする。そういう中でモノラルというのは、どうしてもスぺック的に劣ると云う気がしてしまう。

 今時、DVDにする際にわざわざスペックダウンすることはないと考えられるから、オリジナルからモノラルなんだろう。

 映画のステレオ音声というのは考えようによっては非常に難しい。音楽なら定位置でステレオ録音しても全くおかしくはないのだが、映画の場合、人の台詞をステレオで収録することを考えた時、カット割が激しい場合、位置の管理が難しくなる。カットの通りの位置で音声を捉えてもよいはずだが、あまりにそれに忠実になると聞き取り難くなるはずである。普段、映画を観ていてあまりそういう感じにならないのは、台詞のパートに関してはかなりモノラルに近い状態で収録し、効果音・BGMをメインにステレオ化しているのかもしれない。DVDソフトの5.1chサラウンドシステムでは台詞を中央のスピーカーから流すというシステムになっている。

 それにしてもサカモトの音楽までモノラルにしてしまうのは勿体ないという気はする。

 映画の神様のタルコフスキーの映画もすべてモノラル。最近、ロシア本国の会社が何本かの作品をデジタルリマスターしたうえで、音声を5.1ch化したDVDをリリースしたが、妙にこってりとした音声づくりで嫌気がさすものだった。やはりオリジナルの意図したものとは異なるというのが明らかである。当初、5.1ch化した音声のみでリリースしたものだから、購入者から避難を受け、すぐにオリジナル音声を加えたもので再リリースし直していた。

 市川もタルコフスキーもどちらかと云えば映像の方の強い人。音声の二の次なのかもしれないと思ったりもする。とはいえ、ステレオがモノラルよりも優れているかと云えば単純にそうでもないとも思う。現実に近い状態で再生されるハイファイが本当に理想かどうかというと絶対にそうであるとは断言しかねる。問題は、作り手の意図である。調べているとどうやらキューブリックもステレオ嫌いだったようで、遺作以外はオリジナルはモノラルで撮られているらしい(DVDは大半が5.1chリミックス済)。

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