霊感と無痛症 / 加門七海『怪談徒然草』(02)
昨日、わざわざ書店まで買いに行ったというのが加門七海という人の『怪談徒然草』。もう10年くらい執筆活動をしているような人らしいのだが、最近まで知らなかった。まだ全部を読んではいないのだが、学生時代、中国を40日ばかり旅行し、あの上海の列車事故の前日に被害者となった一行にあったと云っていることから、あたしと数歳違いの同年代の人らしい。
![]() | 怪談徒然草 加門 七海 (著) |
著書は本人の体験談を語った後、それに関して数人で対談といった作りになってて、それが4回の構成になっている。この本は最後の章が目的で買ったのだけど、それ以前に、霊体験のすさまじさにびっくりする。
霊感が強い人は当たり前のように見えるらしいのだが、霊感のないあたしからするともう「なんなの、それ」という感じ。さらに、人間と同じように悪いヤツもいれば、そうでないヤツもいる、らしい。付き合い方を注意すれば、大ごとにはならなさそう。我々だって、ヤッちゃんに絡むのは端から無謀と云うヤツで、むしろ見かければ上手くその場から離れた方が賢いと云える。
体験談を読んでいると、「君子危うきに近寄らず」でとにかくヤバいところからは逃げるようにしているのがよく判る。見えるだけでお祓いをするという能力がないから、なんの手の打ちようのないのだ。彼女はそうやって、あっちの人たちとうまくやり合っている。
この本を読んでいると、霊感の全くないあたしたちは実はとても危険な状態に晒されているのではないかとかと思ってしまう。霊感がある人は事前に危険を察知でき、それを避けることが可能だが、我々は何も知らずに良からぬ事態にいてもおかしくはない。よく云えば「知らぬが仏」で悪く云えば無痛症である。無痛症はとてつもなく恐ろしい疾病だが、そういう一面を常に抱えているのかもしれないと云う気もする。
他人の霊体験とかを完全否定する人もいるけど、あたしはやはり彼岸は存在すると思うな。何とはなくだけど。
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