イノヤマランド『DANZINDAN-POJIDON』(83)
イノヤマランド(INOYAMA LAND)による『DANZINDAN-POJIDON(ダンジンダン・ポジドン)』(CD)をヤフオクで落札。定価より1000円高い3000円(+送料200円)だったが、廃盤なので仕方ない。
DANZINDAN-POJIDON イノヤマランド |
イノヤマランドは、ヒカシューのメンバーだったキーボードプレーヤーの井上誠と山下康によるユニット。井上のイノと山下のヤマを繋げただけの恐ろしく単純な命名だ。細野晴臣プロデュースのアルバムで、インテリアと同じく中間音楽シリーズとしてリリースされたものらしい。
10曲の曲が納められているが、そのうちの半数が細野考案によるWater Delay Systemによって録音されている。どのような録音システムなのかというと、水槽の中にスピーカとマイクを置き、水中を伝わる音で演奏を録音するというものだ。(写真をクリックするとシステムの詳細が見られます) やや音の籠ったような曲が、このシステムを用いて録音されたものなのかと思うが、正直言って個人的にはその効果の善し悪しは判断しかねる。生の録音と比較しないと何ともいえない、そんなところだ。
環境音楽ということであり、音階の単調な繰返しが多い。このユニットで不利になっているのは、二人ともキーボードプレーヤーということで、シンセサイザーしか用いられていないことだ。単調な音楽が単調な音色で奏でられると、それはもう本当に単調である。音楽というのはこれはこれでなかなか面倒なもので、初聴きからいいと思うものと、何回か聴いて、それからいいと思えるものがある。そういうことで、そんなに聴き込んでいないうちから評価するのは危険だったりする。だから、断言は差し控える。しかし、全国各地のミュージアムでイノヤマランドの音楽が実際に使われているようで、これは素晴らしいと思う。確か、ブライアン・イーノの『Music for Airports』(78)は、音楽としての音楽だけだったはずである。(それにしてもこのアルバムのジャケットの雰囲気が、地図→天気図とイーノのアンビエント・シリーズと非常に似通っているのは気のせいか?)
ミュージック・フォー・エアポーツ ブライアン・イーノ |
このアルバムの翌年にリリースされた、あたしの好きなヒカシュー『私の愉しみ』(84)の「ライオンの調教」のベースとなっている曲と思われるものもあった。『私の愉しみ』というのは、この『DANZINDAN-POJIDON』によって依頼されたのではないかという気がする。ヒカシューというより、イノヤマランド路線に限りなく近い。
このアルバム自体は聴くのが初めてなのだが、実は知っている曲が2つあった。今から22年前、学生の時に聴いたものだ。あたしは大学では映研に所属していたのだが、映研の先輩のつくった8mmフィルム映画のBGMに使われていたのだ。たぶん、アルバムをリアルタイムで買い、その時に作っていた映画に使ったのだろうと思う。あたしの入学する前年の作品である。その映画はサークルでは名作と言われ、特に脚本を担当した人が実に多趣味であったらしい。(監督は続いて何本も映画を撮るのだが、いずれも駄作。先の映画作品は脚本家の作品であったのだ) 彼は「映研部員である前に学生であれ。学生である前に人間であれ」なんていう、名言を残し、学業に専念するということで、あたしが入った頃にはサークルでの活動を一切止めていた。結局、一度も会えなかったのだが、一緒に何かが出来ればとても楽しかったろうと思う。それにしても、今回、思わぬ音楽に出合い、びっくりしている。
ちなみにDANZINDAN-POJIDON(ダンジンダン・ポジドン)というアルバムタイトルなのだが、メンバーの山下康が子供のころ、友人が「ダンジンダン・ポジドン」といいながら遊んでいたことに由来しているようだ。ということで音の感触のことだけで、意味は特になさそう。
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