ヒカシュー『私の愉しみ』(84)
当たり前のように廃盤の一枚。オークションでの出品が定価のみの落札希望設定になっていたので、ちょっと悩んでしまった。ただし、そんなに頻繁に出品されることもなさそうなアルバムでもあり、仕方なく、2500円(その他の同時落札との同梱で送料450円)で落札する。
私の愉しみ(84) |
ヨーガン・レールというのはデザインブランドなんでしょうか、よく判らないけども、このアルバムは「ヨーガン・レール・ファッション・ショーのための音楽」という副題がある。ヒカシューの20年を見ると82年に"デビッド・バーンも録音に参加したヨーガン・レールのファッション・ショーの音楽を担当。"とあるので、その時のものをベースにしてアルバム化したのかもしれない。
とにかく盤がスゴい。ピクチャーレコード仕様なのだが、レーベルも何もなく片面は一面地球の写真だけ、そしてその裏面は月の写真だけなのだ。半透明の色付きレコードはよく見かけるが、この手の一面写真で文字の一切ないと云うものは初めてでびっくりしてしまった。面白いものの、面が写真のために埃やら汚れがついているのかまったく判らず、扱いに正直困る。レコードの面は通常A面B面で呼ばれるが、この盤に関しては地球面、月面と呼ぶらしい。
ジャケットは厚手の模造紙のようなもので、文字の印刷部分もスタンプを押したような感じで配われ、ラフなイメージを与えるものとなっている。
地球面・月面、片面2曲づつの計4曲が収録されている。いずれも7分30秒から14分47秒と云う長めの曲。「ファッションショーのための音楽」ということで、一曲のみ巻上の歌詞のない雄叫びの入っているものがあるが、すべてインストルメンタルである。とにかく渋い曲ぞろい。いわゆるアンビエントに部類分け出来るようなもので、巻上ヒカシューとは別の側面が垣間見られる。ヒカシューというとめっちゃ明るい能天気な部分とダークな部分が入り乱れるような曲が多いが、このアルバムはどちらかというと後者がメインとなっているかもしれない。それでも、ヒカシューの音楽性を再認識できる素晴らしいアルバムだ。
ヒカシューというと1stの『ヒカシュー』と2ndの『夏』がどうしても有名でヒカシューとしての愛聴者も多そうだが、どちらかというとそれ以降のアルバムの方が深みがあっていい。あたしは未聴だが3rdの『うわさの人類』から作風が大きく変わるということらしく、どうやらそれまでのアルバムをプロデュースしていた近田春夫が才能がなかったのか、という気もしてくる。当時流行っていた電子音ピコピコのテクノに近田が偏向していて、実はヒカシューはあらぬ方向に向かされていたのかも知れない。
とにかくヒカシュー、そしてアンビエントが好きなら絶対に一度は聴いてみることを勧める一枚。
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コメント
私は“丁重なおもてなし”が好きですね。
あと、“変わってる”とか。
“ヒカシューLIVE”は愛聴盤でしたが
度重なる引越しのどさくさで、紛失して
しまいました。
今では絶版。また聞きたいなぁ。
投稿: REV3 | 2011.01.16 23:37
こんにちは。
いいですねぇ。その3枚とも当然のように持ってて、MP3プレーヤーにラインナップされています。
大分洗練されてきたという感じになってきた頃のものですね。
オリジナリティの高いバンドで、古さを感じさせません。
いまどき、彼らやあっこちゃんに匹敵するようなアーチストというのはいるんでしょうか。
投稿: O-Maru | 2011.01.17 20:13
巻上氏の冗長なパフォーマンスが煮詰まったあたりで
突然の“でたらめな指”突入にシビレれてました。
“大航海”は果たしてクリムゾンのパロディなのか
リスペクトなのか、いずれにせよ井上誠氏の趣味が
如実に出てましたね。
“人間の顔”は破壊力抜群。今でも大好きです。
あと“うわさの人類”では“アウトキャスト”が
お気に入りです。異性関係では結構不遇でしたからw
投稿: REV3 | 2011.01.17 21:34
巻上さんは完全に場のノリの人ですね。
ヒカシューのライブ映像はほとんどみたことがないのですが、糸井重里のNHK教育の「YOU」で秋葉めぐりをした時に、同行した巻上がいきなり屋外ライブを始めるというのがあって、その時の「プヨプヨ」が最高でした。
井上誠はもっと評価されてもいいと思います。
投稿: O-Maru | 2011.01.17 23:29
私は三田さんも好きです。
狂いっぷりが素晴らしいw
投稿: REV3 | 2011.01.17 23:38