ミミ・レダー『Deep Impact ディープ・インパクト』(98)/
フィリップ=ワイリー/亀山龍樹訳『地球さいごの日』(72)
先々週の週末に残業の帰りにふと甘いものが欲しくなって、コンビニエンスストアに入った。良くないところに目がいくもので、DVDの並べられている棚を見ると『ディープ・インパクト』の廉価版あった。監督はTVドラマの緊急救命室ERもつくった女性監督ミミ・レダー。同時期に公開された同じような内容のマイケル・ベイ『Armageddon アルマゲドン』(98)と比べると、やや人間が描かれており、ただ単にグラフィックで見せるというよりも家族愛等々のドラマに重きが置かれ、好感の持てる作品だった。TVでもしこたま放映されており、見飽きたと云う感がなくもなかったが、週末の深夜のカウチ・ポテトには良いと思い、買って帰った。
ディープ・インパクト スペシャル・エディション 監督: ミミ・レダー |
映像特典でこの映画が作られるまでの経緯として、プロデューサーのスピルバーグが当初、ジョージ・パル『地球最後の日 When Worlds Collide』(51)のリメイクを考えていたことが語られていた。『『地球最後の日』はTV放送で20数年前に一度見たことがあるだけだ。ラストにロケットがカタパルトから発射されるシーンしか覚えていないが、『地球最後の日』には特別な思い入れがあった。
小学校に入るか入らない頃、毎週末、放送される怪獣映画にゾッコンになって、映画、および、SF小説好きになった。そうして、本格的なSF小説を読んだのは、もっともジュヴナイル(少年少女向け)化されたものだったが、それが映画『地球最後の日』の原作でもあるフィリップ=ワイリー/亀山龍樹訳『地球さいごの日』(72)だった。
小学校1年の終りに、おそらく発売早々に、買ってもらって読んだのだが、ふたつの彗星が地球に接近し、そのうちのひとつが地球と衝突したあげく、地球が爆発してしまうという内容は実にショッキングだった。地球が爆発し、そのまま人類が滅んだのかというとそうでもない。ノアの方舟よろしく、幾らかの人間と動物がロケットで片割れの彗星に移り住むというところで物語は終る。
とても気に入った本で、この本を同級生に読んでもらいたいが故に他の10数冊と一緒に学校に持っていき、クラスにあった学級文庫の棚の余りにO-Maru文庫を特別開設したくらいである。『ディープ・インパクト』の映像特典で、実家に残してきたためおそらく処分されたであろうあの本がとてつもなく懐かしくなって、幸いにもオークションに出品されていたので落札してしまった。
少年少女講談社文庫(B6サイズのハードカバー)という割には表紙が渋いのだ。出品されていたものはカバーなしが300円、カバー有りが1000円という3倍以上の開きがあったのだが、この表紙も充分この本の価値のひとつであるといっていいくらいの出来なのだ。ちなみに表紙は文庫の宇宙大作戦(スタートリック)シリーズの表紙イラストも担当していた金森達という人によるものらしい。あまりおこちゃまおこちゃましていないのがいい。当たり前のようにカバー有り(1000円+送料290円)を落札する。
地球さいごの日 フィリップ=ワイリー(著),亀山 竜樹(訳),金森 達(絵) |
本編の挿し絵も表紙レベルに本格的だ。ここにあげているのは見開き2ペーシで挿入されているイラスト。映画のワンシーンのような感じで、雰囲気を盛り上げてくれる。
ちなみにオリジナルは33年発表の古典的SFといえるもの。少年少女講談社文庫版のものは少年を主人公にする等、随分とアレンジされているようだ。時代的な背景も異なり、違和感の感じるところが多々あるはずなのだが、それがないというのは、こと細かく設定・描写を変えているという証拠でもあろう。『地球最後の日』は映画『ディープ・インパクト』の公開にちなみ、98年に初めて完全翻訳が行われたようだが、すでに絶版状態。続編の『世界が衝突した後 After Worlds Collide』(34)についてはまったく日本語化されていないようだ。
地球最後の日 創元SF文庫 フィリップ・ワイリー(著),エドウィン・バーマー(著) |
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コメント
フタキンSkywalkerが、東京でフィリップを残業したかった。
投稿: BlogPetのフタキンSkywalker | 2006.02.23 11:21
「地球最後の日」は読んでいませんが、この
少年少女講談社文庫、はよく親に買ってもらって読みましたよ。
懐かしいなあ。「平家物語(やっぱりジュブナイル?)」
に初めて触れたのもこのシリーズでした・・・
投稿: | 2020.10.05 10:27