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2005.12.17

長崎市役所『長崎原爆戦災誌 全五巻』(77-85)

 以前に広島市役所の編さん・発行の『広島原爆戦災誌 全五巻』(71)を入手した。広島市はお隣の街でそれなりに近い関係もあるのだが(当地からもきのこ雲が見えたと云う話もある)、長崎では母方の親類が死ぬことはなかったものの造船所で被爆したという。今回は長崎市役所編さん・長崎国際文化会館発行の『長崎原爆戦災誌 全五巻』(77-85)を購入する。長崎県内の古書店からの購入で、42,000円(税込)。

長崎原爆戦災誌:クリックで拡大長崎原爆戦災誌函
広島原爆戦災誌:クリックで拡大広島原爆戦災誌函
 広島市の原爆戦災誌は被爆後17年目の昭和37年3月に作成に着手された。昭和45年10月に全巻の原稿を完成した後、翌年の昭和46年8月から毎月一巻ずつ2,700部の印刷を行い、昭和47年2月下旬に全五巻を一括して配布を行っている。

 長崎市の戦災誌の着手は昭和48年7月、広島市が『広島原爆戦災誌』を発行した翌年のことである。それ以降、

 昭和52年3月31日
  第一巻 総説編 (640p)
 昭和54年3月31日
  第二巻 地域編 (930p)
 昭和58年3月31日
  第五巻 資料編 (958p)
 昭和59年3月31日
  第四巻 学術編 (500p)
 昭和60年3月30日
  第三巻 続・地域編 終戦前後編 (835p)

といった順序で、8年間に渡って総計3863ページの資料を順次配布を行ってきたようである。送られてきた書籍の函のよごれ具合が各巻で差が激しく、どうしてだろうと思ったのだが、このような理由があったようだ。

 当初、『長崎原爆戦災誌』は全四巻の発行予定で「第一巻総説編、第二巻地域編(その一)、第三巻地域編(その二)、第四巻学術・資料編」とするものだった(第一巻凡例より)が、広島市のような一括しての配本ではなく、少しでも早く世の中に出そうと編さんの完成したものから順次発行するという方法をとったため、巻数・構成ともに途中で変更が生じたと思われる。

 書籍の装丁は、広島市のものが革背表紙のクロス表紙(緻密な細布にコーティングを施した、水に濡らすとドロドロになってしまううタイプのもの。表紙にある図象は広島市章)に天に金箔だったが、長崎市のものでは革背表紙で表紙は織物クロスという作りになっている。薄手の紙を使った広島市に対して、長崎市はやや厚手のものを使用しているが金箔は施されていない。ともに緑色の表紙で似たような印象になっている。

 長崎市の戦災誌で特にユニークなのは第四巻学術編である。この巻では、原子爆弾の物理的破壊、原子爆弾の人体に対する障害、原爆の社会生活への影響、原爆被災の調査研究といった内容で、数式・表が多く用いられていることから唯一横書き編集となっている。

 なお長崎市は今年度から二か年計画で28年ぶりに戦災誌の第一巻総説編の改訂を行っているという。

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