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2005.11.05

ピーター・セラーズ PETER SELLERS

 先日、購入したDVD-BOX『ピンク・パンサー フィルム・コレクション』を観ていて、段々、泣けてきた。


ピンク・パンサー フィルム・コレクション

出演: ピーター・セラーズ, ハーバート・ロム
監督: ブレイク・エドワーズ


 ピンク・パンサーシリーズでセラーズの演じるクルーゾー警部は確かに彼のはまり役で、あのボケを真顔で演じられるのは彼だけだろうとは思うのだが、砂糖を塗[まぶ]し切るだけの役どころが彼の代表作として相応しかったかというとそうでもないという気がするのだ。

 セラーズは80年7月24日に54歳の若さで心臓発作で亡くなったが、当時、中学3年生だったあたしはこの知らせを聞いてどうしようもなく悲しかったことを覚えている。あのクルーゾー警部をもう見ることが出来ないというのが、どうしようもなく淋しかったのだ。彼の死後すぐに公開されたのが『天才悪魔フー・マンチュー THE FIENDISH PLOT OF DR. FU MANCHU』(80)であり、クルーゾー警部を下回るような感じのドタバタ映画で「これがセラーズの遺作になるのか」と憤慨した記憶もある。


博士の異常な愛情
40th アニバーサリー・スペシャル・エディション

監督: スタンリー・キューブリック
出演: ピーター・セラーズ, ジョージ・C・スコット

 『ロリータ Lolita』(62)、『ピンクの豹 The Pink Panther』(63)、『博士の異常な愛情 Dr. Strangelove: or How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb』(64)、『暗闇でドッキリ A Shot in the Dark』(64)という作品の流れを見ると、非常に複雑な心境になる。キューブリックとピンク・パンサーのブレイク・エドワーズの作品に交互に出ている時期なのだが、やはり前者の方が遥かに見応えのある演技をしているのだ。

 亡くなる前年に『チャンス Being There』(79)を撮ってくれたのは幸いだったかな。


チャンス

監督: ハル・アッシュビー
出演: ピーター・セラーズ, シャーリー・マクレイン


 老いた知恵遅れの庭師が雇い主が死んだということから、住み込みで働いていた屋敷を追い出されるのだが、ひょんなことから大統領の顧問になってしまう。基本的にコメディではあるのだけど、爆笑するようなものではなく、セラーズの持ち味である品のよさがにじみ出ていた。枯れた見事な演技を最後に見せてもらったという気がする。

 殺すも生かすも、とよく言うが、まったく殺されていたとは言わないが、完全に生かされていたとも言えないセラーズの映画人生だったように思う。少なくともあたしにとっては。

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