増村保造『大地の子守歌』(76)
夜、CATVで日本映画専門チャンネルをつけていると増村保造の『大地の子守歌』をやっていて、ついつい2時の映画の終りまで見てしまった。
16歳の原田美枝子が演じるおりんは老婆と四国石鎚山の奥深くに住んでいた。この石鎚山の奥深くというのはまさに父親の里のことであり、舞台の昭和初期はどのような感じだったのかおおよその見当がつく。言ってしまえば、とにかく、山以外は何もなかったはずなのだ。面倒を見てもらっていた婆さんが死に、ひとりで生活しているおりんに伊予から来たと云う男がうまく言いくるめて、瀬戸内の島の女郎屋で女郎になることになる。
おりんが病気で失明したあげく、島を逃げだし、四国八十八ヶ所のお遍路の旅に出るまでの話なのだが、決して退屈はしないものの、原田の突っ張り様と緩急のない話の進展で見終った時は「いったい何の話だったんだろう? ハァ?」という気持ちと疲れがどっとやってくる。一般的には評価的には悪くない作品のようだが、どうにもあたしには向いていないようだ。
この前後の作品というと長谷川和彦の『青春の殺人者』(76)等、原田は突っ張った感じばかりの作品しかなく、ちょっと鼻につくのだけど、美人といえばかなりの美人である。しかも知的系である。
ここの写真は大分の湯布院で毎年行われている映画祭に、ゲストとして参加していた彼女をあたしが写したもの。映画祭にはサークルの合宿として毎年参加していた。作品上映後、その作品に関った俳優・スタッフを招いてシンポジウムを行うというのがあるのだが、『大地の子守歌』の上映について、原田が参加していた。湯布院映画祭第12回のもので1987年夏である。原田28歳の時であり、本当に美しかった。写真を撮るため、ゲストの座っている席まで数メートルのところまで近寄る必要があるのだけど、これは緊張した。でも、写さなければ何ともならないので、頑張って撮った数枚のうちの2枚である。夜は立食パーティがあって、交流できるのだけど、ちょっと話せるような雰囲気はなかった。サークル仲間はしっかり腕を組んで写真だけ撮っていたけども。
この時、旦那さんの石橋凌がこっそり付いてきていました。前年はゲストで正式に参加していたんですが、参加者に挨拶するわけでもなく、ロビーで寛いでいる姿があったという程度でした。
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