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2005.06.20

見える者には見える

 当然のことといえば当然なのだが、見える者にはいろんなものが見えるらしい。

 実際に見えている時に居合わせたのは、残念ながら一回きりだったのだけども、海岸線沿いの道を車で走ってて、カーブにさしかかろうとした時に隣で叫ばれた。向うも堪んないのは判るけど、こちらも堪らない。びっくりしてもう少しでハンドルを切り損ねることろだった。「近付いてくるから、止まって!」なんて云われても車はそんなに簡単に止まれない。道路のまん中に立ちふさがるその中を、車は突っ切っていったらしい。ぎゃ、とか叫ばれても知ったこっちゃない。地縛霊やらなにやらは構わないから、黄色い声を出さないで欲しい。

 ある日は突然、電話がかかってきて、自宅に居るのだけども、とにかく触られまくるという霊障がひどい。何か手筈はないかという。丁度、知り合いが、見えないけども、祓える、なんて云うヤツで、とりあえず電話で対応してもらう。そういう時に使える呪文というのがあるらしい。

 家にいてもいろいろ経験するし、病院とかは特にひどい目に遭い易いので行かないようにしていると云っていた。病院に入っただけで頭が痛くなることが多いらしい。

 見えるものに対してもそうだったが、何かにつけて、もの騒がせな女の子だった。随分と気に入られていたのだけど、なんだかんだと躱[かわ]しているうちに去ってしまった。つきあっていれば、それなりに不思議な体験が出来たんだろうな、とたまに思ったりする。

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