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2005.06.13

トーマス・バルトリン『新解剖学書』

 先日、注文した【復刻版 十七世紀人体解剖銅版画集 アナトミア・リフォルマータ 限500・銅版画79葉・ビブリオ版変型(280㎜×420㎜)・総革表紙・ケース (定38万・極美) ノーベル書房 昭51年 1冊 15,000円 】が帰宅すると到着していた。はっきり言ってとんでもない代物である。

 本のサイズは420mm*280mm、厚さ70mmという巨大なもので、更にこれが鍵付き(鍵は紛失したのか不同梱)のハードケースに収まっている。重さはケースを含めて軽く5kgはあるにちがいない。片手で持つのが辛い。紙は最高級特漉用紙というのが使われており、ページのめくり触りがすこぶる良い。

 [人体解剖銅版画集]という商品紹介であったが、これは誤り。杉田玄白の『解体新書』で図版が一部引用されているらしい『新解剖学新書(ANATOMIA REFORMATA)』(1669)(総ページ数636ページ)の完全復刻版で、延々デーンマーク語か何かで読めないのが続く中に80あまりの銅版画附図があるというものである。ちなみに著者のトーマス・バルトリンはリンパ管を発見したが、父も医者であり、さらにその息子も医者で女性のあのバルトリン腺の発見者である。

 表紙やらハードケースが実は凄い。山羊の皮を使ったモロッコ皮の一枚皮でつくられていて、天は純金塗(聖書とかに多いよね)で、タイトルも当然金押し。ちなみに一冊の本の為に2匹の山羊が必要だったらしい。解説書には2ページにわたって革の手入れについて書かれてあった。(モロッコ皮の装丁についてはここが詳しいようなので、興味ある方はどうぞ) 革張りのハードケース、輸送用函と2重に保護されていたためか、1976年製の30年前のものに関らず、ほとんど新品状態だったのには驚いた。

 まぁ、そういったもんだから、ウラを取ることができなかったのだけど、限定500部であるとか定価38万円であるというのは十分にありえる話である。ちなみに浜松医科大学附属図書館のサイトを見ると、この本を副学長さんが図書館に寄贈していたりする。

 こういった定価38万円の商品を1万5千円で買ったとしても、それが満足かどうかというと、これは別問題。17世紀のものにしてはタイポグラフィはすでに完成しており非常に美しい。のだが、肝心の解剖図の銅版画の出来が今ひとつなんだよなぁ。さらにアホなことがもうひとつある。復刻者が原書が小オクタヴォ版(190mm*125mm)なのをビブリオ判変型(420mm*280mm)という倍近くの大きさに拡大して作成してしまっているのである。徒然なるままに眺めるのに良いようにという考慮らしいけど、精密銅版画が間延びしてしまうし、何を考えているんだと思ってしまう。オリジナルのサイズで見るとまた違った印象になるに違いない。

 一緒に注文したのは、仁科記念財団編纂『原子爆弾-広島・長崎の写真と記録』(1973・定価1万円)を4000円で。前半1/3がグラビアで、これは見られそうもない。仁科芳雄というと現地に最初に入った学者で、その財団がどのようなものを編纂しているのか興味があった。

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