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2005.06.09

NHK出版『ヒロシマはどう記録されたか』

 ようやく読了した。ページ数は400ページ弱とそんなに多くない。普段なら2日半もあれば読み切れる分量なのだけど、妙に時間がかかってしまった。


ヒロシマはどう記録されたか
-NHKと中国新聞の原爆報道

NHK出版 (編集)
単行本: 397 p ; サイズ(cm): 22
出版社: NHK出版 ; ISBN: 4140808047
(2003/07/26)


 サブタイトルにもあるように、「NHK」と「中国新聞」の記者の体験、および、それらがメディアとして報じた事から、広島に落された原爆が語られる。

 双方とも被害はひどく、設備は当然、人員も多くを失うこととなった。生き残った者は可能な限り記者として報道を試みている。語られる原爆投下の日の様子は生々しく、その中で職業を全うしようする姿には心を打たれる。

 しかし、そういった記者の体験談と報道の中身による語り、例えば、暁部隊の江戸屋猫八さんの体験談放送等が入り乱れ、視点があいまいになっており、読み辛いことこの上ない。編者は「ヒロシマがどう記録されたか」という興味深い視点を見つけて、形にしようとしてものの、それらを調べているうちに色んな興味深いことに出合い、すべてを一緒くたにしてしまったという感じだ。編集の悪さが目につき、もったいない結果となってしまった。

 あたしが海を隔てて向かいのヒロシマに興味を持たされたのは、9歳くらいの時に親に平和資料館に連れられていったからだった。当時、展示されていた蝋人形は今と比べてリアルなショッキングなもので、今も忘れることができない。昨年、同じように子供を広島へ連れて行ったが、そんなに感銘を受けている様子はなかった。あたしが広島に初めて行ってからすぐにNHKによる市民の「原爆の絵」運動が始まり、地元のHNKでも展覧が行われた。さっそく小学校に入ったばかりの弟をつれて二人で見に行った。『劫火を見た』という絵を纏めた本をそこで購入したが、数度見ただけで封印してしまった。

 投下当日の様子は松重美人氏の撮った御幸橋西詰での写真で想像するしかない。しかし、あれはまだまともな光景だったのではないかと思う。

 怖いのは核爆弾だけではない。正当な行為として国が認めたことによって、国民が惨く苦しみながら死ぬということは今だに続いている。目を瞑るということはそんなに簡単なことなのか、と驚かずにはいられない。

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