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2005.04.10

雜賀雄二『軍艦島-眠りのなかの覚醒-』



軍艦島―眠りのなかの覚醒

雑賀 雄二
単行本: 143 p ; サイズ(cm): 24
出版社: 淡交社 ;ISBN: 447301987X ;(2003/03)

 先日、紹介した『月の道-海 月光 軍艦島-』の著書である雜賀氏による写真集。『月の道』以前の『軍艦島-捨てられた島の風景』(86年:新潮社)が絶版になっていたものを03年に復刊したもの。ただし、当初のものと副題が変っているように、収録写真も入れ替わっているらしい。

 著者は新聞報道で軍艦島の閉山を知り、無人化する3ヶ月前の1月10日に初めての軍艦島入りする。それから閉山の74年4月20日まで頻繁に島に通い、最後の島での人々の生活ぶりを見届けている。島を離れる最後の船は「最後の島の姿を見ようと、人たちは左の甲板に押し寄せて、船は転覆するほど傾いた。(追想・軍艦島)」らしい。

 ちなみに、『軍艦島実測調査資料集(阿久井喜孝・滋賀秀実編著)』で閉山直前の予備調査時の様子について、同じように「乗り込んだ人たちのほとんどが、島の見える左舷の甲板に立錐の余地もないほどに群がり、島側に傾いた船は今にも転覆しそうである。」と記述されている。異なった方面であるが、軍艦島に対して非常に精通した二者が、この最後の船に乗り合わせていたのは興味深い。いや、実は至極当然のことであるのかもしれないが...

 閉鎖から10年後に撮られた写真による写真集は、前半は風化し倒壊しつつある家屋を外から捉えて、後半は残された人々の生活の変わり果てた姿を室内で捉えて、といった構成になっている。20年近く経ってからの復刊であり、著者の視点に変化があったのは確かだろう。しかし、見たことのある生活について捕らわれているのは確かであり、感傷さ加減が痛々しい。

 そういう意味でこの次作となる『月の道』は感傷を越えたものであり、軍艦島をそのまま感じるように撮ったもの(もちろん、月の光で岸壁の両側を捉えるという技法の着眼によるものだが)であるということが確認できる。個人的には『月の道』の方が好みである。

 『月の道』、どうやら、しばらく前にヤフオクに出ていたようで、開始値は2,900円だったようだ。そして、落札値は19,000円。あたしは数日前後してほぼ開始値の3,000円で購入したんだが...

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コメント

感傷になんか捕われているような写真じゃありません。

投稿: | 2009.08.05 04:35

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