本日、到着。先週号のAERAの現代の肖像『鬼海弘雄-人生の普遍を撮るという男』(神田憲行・文)を読んで、しっかり衝動買いさせて頂きました(苦笑)
AERAの記事の最文末「『ペルソナ』は今年になって完売した。」を「完成した」と何故だか読み違いし(今日、カミさんと写真集を眺めた後、記事を読ませるとカミさんも同じ読み違いをしていた(苦笑)、普通に通販を探しまくったあたし。結局、ここの記事にあるように注文できたのですが。本日現在、紀伊國屋のサイトで久留米店より入手可能です。(あたしが注文をかけた時には福岡本店と久留米店の両店に在庫があり、久留米店に注文すると「カバーに皺が入ったものしかないため、取り寄せに時間をください」ということで3日ほど待たされ、今日サイトを見ると福岡本店の在庫がなくなっているということから、久留米店のものは美本でない可能性があります。いずれにせよ通販では入手が難しくなっていると思われるので、お早めに)
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PERSONA
鬼海 弘雄 (著)
大型本: 180 p ; サイズ(cm): 33
出版社: 草思社 ; ISBN: 4794212402
(2003/09/19)
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記事でも編集担当者が最高のクオリティを目指したとあるように、写真集としての出来は非常によい。まず、輸送用ケースがあり(1万円程度の書籍で輸送用ケースは見たことない。書籍で見たことあるのは一冊3万弱の『バラ図譜』くらい)、さらにページの割には重い。かなりの上質の紙を使っていると思われる。さらにオリジナルプリントそのままの大きさでトリプルトーン(モノクロ3色刷り)で刷られているらしい。
166人の市井の人。鬼海氏が30年間に渡って東京浅草の浅草寺境内で撮りためたポートレートの集大成である。彼らは特にポーズや笑顔を見せるわけでもなく、ただ各々のごく普通に佇んでいる様が撮られている。どうも現在もこの浅草寺での撮影は続けられているらしく、AERAで紹介されたその撮影風景を見た限りでは、鬼海氏が自己紹介をした後、ほとんど会話をせずに手早く撮影を清ませるということで、おそらく一人につき数分のものだろうと思われる。被写体にとっては不意を突かれた撮影といった方がよいだろう。
ただその場での撮影にしては堂に入っている。30年間の賜物なのかもしれない。写真館で時間をかけて撮ってもらうポートレートより遥かに奥行きがあるのだ。
特徴のある人が多い。まぁ、そういう人たちだから、何かを漂わせている可能性も高い。この写真集に納められた濃い人たち。おそらく普通の人以上のものを抱えて来たに違いない。
肖像というと田舎の実家に飾ってあった曾祖父母の写真が思い出される。鴨居に飾られた写真で、非常にコクのある顔をしていると見とれていたものだった。
『ペルソナ』は確かにそれはそれで高く評価されるべきものであるが、この作品が特に取り上げられるのは今の人間があまりにも稀薄だからとも言えるのではないかと思う。
写真集の解説を『灰とダイアモンド』のアンジェイ・ワイダも書いているのにびっくりした。彼も真摯に人の人生をみつめる人でこのふたりにはどこか共通するところがある。
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